チックとは手が届きそうで届かない背中の痒みのようなもの

チック症・トゥレット症(トゥレット症候群)は当事者にしか分かりえないことが大変多く、当事者のご家族は理解してあげたくても、理解の難しいことが多く、それ故に悩みも尽きないかと思います。

よくご質問を頂くのでブログに少し記載致します。

そもそもチックとはどんな感覚なの?

チックが出る前の前駆衝動ってどんな感じ?

以前チックとは、瞬きを何分も我慢した時に生じる瞬きをしたくなる感覚が前駆衝動、その結果行う動作の瞬きがチック。蚊に刺された時の患部の痒みが前駆衝動、その結果患部を掻く動作がチックの様なことであり、重いチック症状はこれらの何十倍もの衝動に常に襲われている、と記載致しました。

しかし、目の乾きは瞬きをすれば直ぐ解消される

蚊に刺された幹部は手が届けば掻くことはできるし、痒みを抑える薬もある。

では、手の届かない背中を大きな蚊に刺された時はどうでしょう?

孫の手の様なもので掻く、誰かに掻いてもらう

それが出来ない時…

痒みが治まるまで永遠とムズムズしていますよね

まして微妙に手が届きそうで届かない

掻けたような、掻けてない様ななんともじれったい感覚、この患部をしっかり掻けない状況が何度もチックを誘発しています。

私達トゥレット症当事者はこれよりも強い感覚が常にあります、それもチック症状の数だけ体中あちらこちらに

仮に患部を掻くことが出来たとしても、直ぐにその痒みは湧き上がる、掻けば掻いた分だけ炎症が広がり余計衝動が強くなる場合も

アトピー性皮膚炎をお持ちの方ならこの感覚が少しわかるかも知れません、当事者は寝てる時以外1日中この様な衝動に駆られています。

全てのチック症状がこれらに当てはまるわけではありませんが、この様な事が体に起きていると考えていただければ、少しはトゥレット症の子達を理解してあげることができるのかも知れません。

チックを我慢する事はできるの?

うちの子は外にいる時はあまりチックが出ていない、本人に聞くと我慢していると言う

家に帰ってきた途端に叫び出す……

外で我慢出来るなら家でも我慢できないの?

そのような事を思ったことありませんか?

実はチックは少しの間なら我慢する事ができる場合もあります。

※全員が我慢できるという訳ではありません

全く無意識でチックが出ている子もいれば、前駆衝動を感じ、その衝動に耐えきれず意識的にチックを出さざるを得ない子も。

先程お話した蚊に刺された時、痒みを我慢する事少しはできますよね?

しかし長時間我慢したらどうなるでしょう?

イライラしてくるかも知れません、フラストレーションが溜まりいてもたってもいられなくなるかもしれません。

チックもそれと同様に、我慢できるのも一時的、長時間続けていれば疲れてしまいます、時には別のチックが発症、または移ってしまうことも。

何故外では我慢できるの?

適度な緊張、興味のある事に集中している時などチックが普段より少ないと思ったことありませんか?

実は無意識にこれらと同じ状況を作り出せる当事者もいます、私個人の感覚でお話しすると、ちょっとした脳のスイッチを切り替える様な感覚で、チックの負のスパイラルを制御しています。

しかし、それは長時間行うと精神的にとても疲れてしまいます、そしてチックを抑えることに意識を集中する為、その他の事が疎かになってしまう場合もあります。

学校に行っている時はあまりチックが出ていないようだが大丈夫なんだろうか?と思ったことありませんか?

チックを少しはコントロールできる当事者は、なんとか学校に行っています、しかし、チックを抑えることに必死で、おそらく授業に集中することは難しいでしょう。

いつもピリピリしている、機嫌が悪い、癇癪をすぐ起こす、キレやすい、そんな印象を当事者に感じている方も多いかと思います。

チック症・トゥレット症当事者は脳内で常にチックの衝動と戦っています、ですからそれ以外のストレスにとても敏感であり、環境の変化も苦手です。

健常者の方も、急いでいる時、焦っている時、考え事をしている時や体調の悪い時、少し乱暴な言葉使いや、素っ気ない態度になったりしてしまいませんか?

その感覚が何倍にもなって当事者の脳内を支配しているような感覚、トゥレット症当事者の中にはチックと向き合うだけで精一杯の方もいます。

チック症状をある程度穏やかにする為には、精神状態を安定させ、ストレスの少ない常にゆとりを持った変化の少ない生活をする事が重要なのです、その結果チックが穏やかになると同時に感情の起伏も穏やかになります。

ただし、一言でトゥレット症といっても、その症状の度合いは千差万別、普通に学校に行ける、就労出来る方もいれば、家から出れない程症状が重く、生きるだけで精一杯の方も、トゥレット症の定義が少し広すぎるのかも知れませんね、このお話はまた次回。

何れにしても全てがこれらに当てはまる訳ではなく、個人個人チック・トゥレットに対する感覚は異なり、その対応も様々です。

今後はこの様な投稿もして行けたらと思います、チック症・トゥレット症について少しでも理解が深まれば有難く思います。