チックの行動療法体験談/改善事例『本当に(セッションを)受けてみて良かったと心から思います。』兵庫県12歳男の子
当会のチックへの認知行動療法(ハビットリバーサル・呼吸法・CBIT・ERP)を受けた、12歳男の子のお母様より、オンラインセッションのご感想を頂きましたので投稿いたします。
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Q1.セッションを受けてみようと思った理由を教えて下さい。
A.本人の父親が半年ほど前にトゥレット当事者会をネットで見つけて、初めて呼吸法について知りました。
その頃は本人のやる気が起きず、薬だけに頼っていましたが、症状がみるみるひどくなり、毎日が地獄のようだというくらいつらい日々になり、薬の量を3倍ほどに増やしてもらっても症状が改善されず、何か他の方法を試してみたいと本人の希望でセッションを希望しました。
Q2.セッションを受ける前のお子さんのチックの種類や状態(頻度や大きさ)をわかりやすく教えて下さい。
A.音声チック…口笛のような、やかんが沸騰したときのような、甲高いピーピーという声が出る、ひどい時は3分に一度位の時もあり。高い音のため、教室ではかなり響きます。
運動チック…首を前にブンブン振る(隣にいて風を切る音がするくらい)一度に2,3回の時もあれば、7,8回止まらないこともありました。前へ首を振るのを自分でおさえるためか、後ろに体重をかけて立っていてもこけてしまうこともありました。むち打ちのような状態で首や肩の張りがひどく、それによる頭痛もかなりあったため、一日3回鎮痛剤を飲んでいました。
鼻の下をのばす…のばすことによって、歯で口の中を傷つけてしまいひどい口内炎でした。これも3分に一度、一回だけ伸ばしたり、4,5回続けてのばしてしまっては痛くて泣くという繰り返しでした。
ほかにも小さなものはありますが、ひどい症状はこの三点です。
Q3.ホームワークを行っている時のお子さんの様子を教えて下さい。
A.最初は慣れないとこもあり、ぎこちなかったり、集中できなかったりもしましたが、回数を重ねるごとに呼吸も上手にできるようになり、かなりリラックスした状態でできました。それはとてもいいことなのですが、リラックスするがゆえにホームワーク中に症状がでないことも後半はありました。
Q4.セッション中のお子さんのチック症状の変化を教えて下さい。
A.1週目は失敗も多かったのですが、1週間に一度呼吸法含めて、やるべきことをわかりやすく教えていただいたので、2週目からは時間はかかっても成功することが増え、とても順調に症状がやわらいでいきました。成功までの時間も段々と短くなってきたので、余計に本人のやる気も増えて最終週はセッション中に一度も症状がでないまででした。
Q5.セッション開始1ヶ月後の現在のチックの状態を教えて下さい。
A.音声チックは全く出ていません。
首振りと鼻の下は、本人の中ではゼロではないようですが、母からみていても、一日に数回出る程度、当初のようなひどい振り方ではなく、振り方も軽い感じです。
Q6.チック症状への認知行動療法(ハビットリバーサル・呼吸法・CBIT・ERP)を受けた感想を教えて下さい。
A.本当に受けてみて良かったと心から思います。
子供なので本人のやる気がないと難しいかなと思っていましたが、当事者の方とお話することで安心できることがあったり、お医者さんにもわからないことや、本人だからこそ理解できる話をたくさんできたことも続けられた一つの要因だと思います。
母親の私も、ネットの情報やお医者さん、カウンセリングの先生ともたくさんお話をしたりしてきましたが、当事者の方にわかりやすく説明してもらって初めて理解できたこともあります。説得力もありますし、安心感もありました。
最初の一週間は失敗が多く、成功までの時間も長かったため、しんどい時期でもありました。が、その結果をふまえて次のセッションではこうやってみようとアドバイスをいただいて、徐々に成功回数が増えました。そのことで本人のやる気もあがりますし、母もその状況が嬉しく、不安感が取り除かれることでさらに子供の状態が良くなったような気もします。
担当の谷さんには毎回息子に優しく声をかけてくださり、わかりやすく、時には笑わせていただいたりして、息子も毎回進んでセッションを受けられたと思います。とても感謝しています。ありがとうございました。
Q7.チック・トゥレットでお悩みのお母様方は大変多くいらっしゃます、その様なお母様方にお伝え出来る事がもしあれば、ご記載お願いいたします。
A.今回の一か月のセッションでたくさんのことを学ばせていただきました。それをふまえてアドバイスというものを色々考えましたが・・・言葉にするのが難しいです。すみません。。
Q8.最後にトゥレット当事者会へのご要望やご提案がもしあれば是非教えて下さい。
A.要望は思いつきません。今のご活動で十分にありがたく思います。今後セッション経験者として何かお役に立てることがございましたら、ぜひ何なりとご連絡ください。できることがあれば参加させていただきたいと思います。
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今回のお子様は、チック症状により体を傷付けてしまう事が多く、ご本人もかなり辛かったことと思います。
私自身も似た様なチックがあった為、痛いほどそのお気持ちが理解でき、私自身が同様のチック症状をどの様に改善してきたかもセッション中にお伝えいたしました。
ご感想の中に『成功』という言葉が何度か出てきますが、『成功』とは、ハビットリバーサルや呼吸法を行う事で、チック症状を出さずに前駆衝動(チックが出る前の体の違和感)を鎮める事が出来たということです。
お子様によっては、呼吸法や拮抗反応を使用しても、上手く前駆衝動を鎮める事が出来ない場合もありますが、お子様それぞれにあったセッション及びホームワークを行う事で、少しづつ出来る様になってきます。
ひとつのチックを上手く改善できると、その成功体験が、次のセッションへのモチベーションに繋がります。
実はこのお子様には、この後の続きがございます、認知行動療法のオンラインセッション開始1ヶ月程度で、殆どのチック症状が軽減していったのですが
その後1ヶ月で更に改善し、音声チック、首振りの運動チックは無くなり、鼻の下を伸ばす運動チックは10段階中0.5程度とほぼ無いに等しいレベルまで改善しました。
しかしながら、この1ヶ月間で新たなチック症状も発症してしまったのですが、メールにて、ターゲットにするチック症状に競合する、新たな拮抗反応をお伝えしたところ、お子様とお母様自らで改善する事ができたとの事!
当会で認知行動療法を指導するにあたり、特に心掛けていることは、セッション終了後、新たなチック症状が出てきたとしても、ご自身で対処出来るようになること
その為に、チックの仕組み、ハビットリバーサルの考え方、セッション中にこれらを学び、親子で、当事者自らが、チック症状を管理・コントロールし、悪化を防ぎ改善させる、チックに打ち勝つ術をお伝えしております。
私自身が重度のトゥレット症当事者(YGTSS 38/50)であったこと、様々なチック症状を克服してきた経験も併せてアドバイスさせて頂いております。
今回のお子様は、症状が寛解した為、現在は間隔をあけてのセッション(経過観察)となっており、今後は減薬に挑戦されるとの事。
薬物療法は、人によって、眠気などの副作用が出てしまう場合もあります、今回のお子様は、薬に頼らず、ご自身でチック症状を改善する事が出来たので、きっと減薬にも成功する事でしょう
減薬だけではなく、服薬する必要が無くなる可能性も、十分にあるのではと私は思っております。
この度は、大変ご丁寧に、ご感想を送ってくださり、誠にありがとうございました。
今後も微力ながら、当会でもしっかりサポートさせて頂きます。
※認知行動療法(ハビットリバーサル・呼吸法・CBIT・ERP)は全ての方に効果を発揮するとは限らず、改善度合いも個々に異なりますが、今回のお子様の様に劇的に改善する事は珍しいことではありません。