チックの行動療法体験談/改善事例『チックが大幅に改善しました』就労移行支援事業所を利用する兵庫県40歳男性
兵庫県にある就労移行事業所様からのご依頼で、トゥレット症当事者である利用者Mさんに、チックの行動療法/認知行動療法(ハビットリバーサル/CBIT・ERP・呼吸法)を行い、その感想をお伺い致しました。※Mさんは無事就職が決まり、フルタイムで働くことができるようになりました。
❶チックの行動療法を受けてみようと思った理由を教えてください。
Mさんに初めて会ったのは今から約1年半前でした。トゥレット症の方が私どもの就労移行支援事業所を利用されると聞き、その時初めて「トゥレット症」を知りました。大きな声と首や手が勝手に動く姿を見て最初は驚きました。Mさんはいつも周りの人たちに不快な思いをさせているのではないかと視線を気にされていました。将来、就職できるのだろうか、また就職できたとしても周りの人を不快にさせるのではないかと不安な気持ちをよく話しておられたことで、何か私にできることはないかと調べていたところ「トゥレット当事者会」のホームページにたどりつきました。Mさんとお母様にご相談し行動療法を受けることになりました。
❷セッションを受ける前に不安だったことなど何かございますか?
漠然とですが、行動療法がMさんに合わず不安や生きづらさが増してしまうことになったらどうしようと考えたことはありました。
❸セッションを受ける前のMさんのチックの種類や状態をわかりやすく教えてください。
主にしゃっくりのような大きな声と首を後ろに激しく振るチックが、10~30秒に一度程度出ておられました。
❹セッションやホームワークではどのようなことを行いましたか?
セッションではお薬情報やさまざまな治療法、日々行っていくトレーニング方法を分かりやすく教えていただきました。谷先生はMさんの悩みなどを親身に聞いてくださり、当事者ならではのお言葉をかけてくださることで不安や迷いの軽減につながりトレーニングを継続するためのモチベーションが保てたと思います。
ホームワークでは就労移行支援事業所とMさんのご自宅をZOOMでつなぎ、前駆衝動への気付きを高める練習「アウェアネストレーニング」を20分と拮抗反応を利用した行動療法「ハビットリバーサル」を30分、最初はできるだけ毎日行いました。また「それぞれのチックに対する不快指数」「呼吸法と拮抗反応を利用してどれぐらいチックをブロックできたか」「お母様にご自宅でのチックの様子」を10段階評価で毎日記入していただきました。
❺セッション終了後のチックの変化を教えてください。
トレーニングを始めたころは前駆衝動を半分ほどしか気付いておられませんでしたが、現在ではほぼ気付くことができていますし、落ち着いて意識すれば呼吸法と拮抗反応を用いてチックをブロックすることができるようになりました。チックの自己対処法を知っていることで、公共の場や静かにしなければいけない場面でも以前に比べ大きな不安から解消されるのではないかと思います。
❻セッションをお受けになられたMさんの感想を教えてください。
私は谷先生とのセッションで前駆衝動に対する対処法をうかがい、実践してみたところチックが大幅に改善しました。特に前駆衝動が気付けるようになってからは、落ち着いて呼吸法と拮抗反応を行うことでチックを出す回数が減りました。これからはチックがでやすい状況を作らないよう、またストレスをためないよう対処法を続けていきます。
セッションの時間を作っていただき本当に感謝しております。ありがとうございました。
❼チックの行動療法に対する事業所の方のご感想を教えてください。
冷静に考えると当たり前のことですがトレーニングを始めたころのMさんは前駆衝動の気付きが少なく、またチックが減らないことで私は焦りを感じ、自分のやり方が間違っているのではないかと何度も何度「CBIT」のレッスンのページを見返し悩んでいました。トレーニングを重ねることによりMさんもコツをつかみ、また薬の調整がうまくいき、Mさん自身自分に合った新たな趣味でストレス発散することにより、どんどんチックが軽快していきました。谷先生はMさんのチックの状況を細かく聞いてくださり、正しく分析しいつも的確にアドバイスしてくださいました。こんなにも優しく人のために一生懸命になってくださる先生に感謝の気持ちでいっぱいです。
❽チックには様々な治療法がありますが、チックの行動療法はどのような方にお勧めできますか?
チックに悩んでおられる方全員に一度試していただきたいです。
❾最後にチック・トゥレット症でお悩みの方は大変多くいらっしゃいます。そのような方にお伝えできることやアンケートにない内容で、もしお伝えしたいことがあればご記載をお願い致します。
チック症・トゥレット症の方が偏見や差別なく、自分に合った環境で長く働き続けることができる当たり前の社会を目指し、多くの方に正しい理解をしてもらえるよう私ども就労移行支援事業所は「チック症・トゥレット症」について発信していきたいです。