❶チックへの認知行動療法を受けてみようと思った理由を教えてください。

認知行動療法については、インターネットでその存在は知っていはいましたが、具体的にどのような事をするのかはわかりませんでした。また地方在住のため、チックに対応した認知行動療法をしてくれる医療機関を見つけることはとても難しいことでした。

当事者の親でありながらチックとの付き合い方を正しく理解できずサポートする事へ限界を感じていました。

そんな状況の中で、当事者の谷様が行う認知行動療法だったのが一番の理由です。当事者の方自身がCBITのセッションを通して指導してくださることに衝撃を覚えると共に、希望を感じました。

子供にセッションを受けてみないか相談したところ、はじめは乗り気ではなかったのですが、「指導してくれる方も当事者なんだよ」と伝えるとチャレンジしてみる気持ちになった様でした。

❷セッションを受ける前ご不安だったことなど何かございますか?

当事者の子供が途中でセッションをやめてしまうのでは?と心配でしたが、谷様は本人の意思が一番大事なのでそれは自由ですと一番最初に言って下さいました。結果としては、谷様のおかげで最後まで行うことができました。

❸セッションを受ける前のお子さんのチックの種類や状態を教えて下さい。

現在、中学2年生ですが症状が目立つようになったのは、小学3年生の頃からでした。首振りや鼻すすりから気付き始めました。その後、徐々に症状がひどくなりました。

運動チックと音声チック、その他にもやっていはいけないと自身が思ったことをしてしまう様々な行動(自分の眼球を叩く・眼球を刺そうとする、汚言の絶叫)が1~3か月周期で入れ替わりました。

セッション開始時には、「つばを吐く」、「汚言(1~2分に一回程度)」、鼻をすする、その他運動チック(しゃがみ込む、蹴る、物を壊す)などでした。

❹セッションやホームワークではどの様なことを行いましたか?

最初に前駆衝動に気付く練習をしました。その後基本となる呼吸法を正しく行いリラックスできる様になる練習を中心に行いました。併せて筋弛緩法、ストレスチェック、拮抗反応を丁寧に教えて頂きました。

❺セッションやホームワークを行っている時のお子さんの様子を教えて下さい。

なぜかセッション中には、ターゲットのチックが出なくなってしまうので、セッション中にチックを出さずに鎮めるというトレーニングが出来ませんでした。

そのためチックを鎮める自分に合った呼吸法を探すのに苦労しました。呼吸法中にチックが漏れ出してしまったり、前駆衝動が静まらない事もありましが、次回セッションの時にはホームワークの結果を谷様に確認していただき、適切にアドバイス頂けました。

谷様の指摘・アドバイスは的確で子供も素直に受けれて実践する様子が見れました。

❻主要セッションが終了した現在のチックの状態を教えて下さい。

まだ、少し汚言が出ますが以前と比べるとかなり軽減されました。つば吐きはほぼ無くなり、中指を立てる行為も拮抗反応でブロックしています。(セッション前のチックを10とすると今は1くらいしかチックが出ていません)

学校生活においても、拮抗反応と呼吸法を実践してチックを出す回数を軽減させている様です。

親としてもチックに対して正しい知識を得ることができ、チックを持つ本人が一番つらく、改善したいと思って行動していると気づく事ができました。今までとは少し違った目線で子供を見る事ができ、接し方を少し工夫できるようになりました。

❼セッションをお受けになられたお子さんの感想がもしあれば教えて下さい。

チック症状のセッション受けさせてもらい最初の頃よりもだいぶ改善され、受ける前とは比べられないくらい過剰に気にしていた周りの目も今では気にせずに生活できていて嬉しいです。

セッションでは改善策を伝授して下さる谷さんが、理解力の低かった僕にでも分かりやすく今までの経験を生かして説得力のある説明をして下さいました。ありがとうございました。

❽チック症状への認知行動療法に対する親御さんの感想を教えて下さい。

呼吸法や拮抗反応は、チックをゼロにする事はできませんが音声チック、運動チックがかなり軽減できました。拮抗反応でチックを一時的にブロックし、呼吸法で衝動を鎮める。『本人がチックを出したくない場面で軽減させる事が出来る様になった』これは学校生活をしているチック当事者の本人にとってはとても重要な事でした。

「学校で周りの目が気にならなくなった」と感想の中にありましたが、「自信が付く→活動が積極的になる→自信が付く」の好循環が出来たような感じがします。

大変だったことは、セッションの内容を継続する事と、実践しても変化が見れない時期がありました。本人のモチベーションを維持しながら粘り強くサポートする事が大変でした。

セッション中に谷さんに相談しアドバイスをもらうと本人も素直に納得する様でした。本人曰く、「谷さんの話す内容はわかりやすく腑に落ちる」との事でした。

また親としての接し方についてもアドバイスを頂き助かりました。基本はやさしく寄り添いながら、時には本人の能動性を促すため厳しく助言していただける素敵なセラピストさんです。

❾チックには様々な治療法がありますが、チックへの認知行動療法はどの様な方にお勧めできますか?

もしかしたら、認知行動療法を学ばずとも本人が自分で対処法を見付けるかもしれませんし、成長と共に自然と軽減するかもしれません。ですので一概に言えませんが、当事者本人がチックに悩み、「なんとかしたい」という思いを親と共有できれば是非やってみてもいいと思います。

❿最後にチックでお悩みの方は大変多くいらっしゃます、その様な方にお伝え出来る事や、アンケートにない内容で、お伝えしたい事がもしありましたらご記載をお願い致します。

認知行動療法でチックは治りませんでしたが、本人、親がチックに対して正しく向き合う事ができるようになりました。「呼吸」、「まばたき」、「痒いところ掻く」の様な行動を長時間止めることはできないように、チックを出している本人も強い衝動に駆られています。症状衝動のすべてを理解してあげることはできませんが、そういうことを理解してあげながら接していく事が大事だと感じました。