チック症とトゥレット症(トゥレット症候群)って何が違うの?
今回はよくご質問されるチック症トゥレット症の違いについて投稿いたします。
その前にトゥレット症とひと言でいっても、その症状の度合いは、個々に全く異なるという事をご存知でしょうか?
アメリカ精神医学会が出版するDSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)によると
トゥレット症(トゥレット症候群)とは、複数の運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上持続した神経発達症(発達障害)と記載されています。
例えばですが…
- 「ん、ん、ん」という咳払いの様な音声チック
- 目をパチパチさせる瞬き運動チック
- 鼻の下を伸ばす運動チック
上記3つのチックが1年以上持続しているとトゥレット症と診断されます。
一方で…
- 近所迷惑になってしまう程の大声で叫ぶ音声チック
- 顔面を殴打する複雑運動チック
- 物を破壊する複雑運動チック
こちらもトゥレット症です、同じトゥレット症と診断されても、当事者が感じる苦痛は前者と後者、そしてそれぞれのチックが起こる頻度によって全く異なります。
では、チック症とトゥレット症(トゥレット症候群)は何が違うのか?
簡単に説明するとチック症とは(暫定的、持続性問わず)、少なからず1つの運動チックのみ又は音声チックのみがある状態
仮に複数の運動チックがあっても、音声チックがなければチック症(暫定的/持続性)、逆に音声チックがあり、運動チックがなければチック症(暫定的/持続性)。
少しややこしいでしょうか?
実はチックとは、病名でもあり、症状の名前でもあります。
チック症の症状が「チック」であり、トゥレット症の主症状も「チック」です
更にトゥレット症の場合は不安症、強迫症、不眠症などの精神疾患や、その他の神経発達症(発達障害)などを併発している場合が多く、チック症の方のチックに比べると、症状が複雑化、重症化してしまう可能性が高いです。
つまりチック症が重症化複雑化するとトゥレット症になるようなイメージ、しかしながら同じトゥレット症でもその症状の度合い(強さ・大きさ・頻度)自体にも大きな差があるという事です。
あくまでも定義なので診断名に固執するのではなく、当事者のQOL、生き辛さに着目し、その根源にフォーカスして頂けたらと思います。